COVERCHORD FEATURE

nonnative × UNDERCOVER
OZISM
2024 SS COLLECTION
vol.1

淡々とした、それでいて異彩を放つOZISM（オジズム）のものづくり。
3月16日に迎える新たなコレクションの発売に先駆けて、その個性の正体に迫る。

〈UNDERCOVER（アンダーカバー）〉を手がける高橋盾と、〈nonnative（ノンネイティブ）〉のデザイナー・藤井隆行によって、2022年末に突如発表された「OZISM（オジズム）」というレーベル。ポーラテックフリースを用いた作務衣を中心に、ごく少数のアイテムだけで構成された初回から数え、3度目のラインアップが先ごろ公開された。

ファッションの世界に長らく身を置いてきた両者が従事する、いわゆるブランドやコレクションとは隔てたものづくりの起こりと、草木染めや和紙といった技法・素材を採用した今春のアイテム群について、全4回にわたって考察してゆく。

文：今野 壘
編集者。1987年生まれ。ファッション分野を中心に活動中。

THEMATIC REPORT
#1 SAMUE

作務衣とは

「さむえ」、あるいは「さむい」と呼ばれるこの衣類の起源は定かではないが、その歴史は意外に浅く、古くとも明治以降に登場したものだと言われている。
その名の通り作務、つまり禅寺での僧侶の労働用に用いられた作業着で、定型のデザインがあるわけではないが、衿のある上着と脱ぎ着のしやすい前合わせなどが多くの場合に共通する仕様である。現在は上下が組みのものも少なくないが、当初は上着のみだったという。
質実剛健な国産のワークウェアとしてとらえ、「オジズム」は一貫してこの作務衣をキーアイテムに据えている。

ポーラテックとは

米国、モールデン・ミルズ社が開発したポリエチレンテレフタレート製の起毛仕上げの繊維素材であり、同社が有する商標。吸湿性や保温性に優れ、軽量であるなど、他のフリース生地と比較してもメリットは多い。「オジズム」では、高橋・藤井がともにアウトドアウェアへの関心が深かったことから、機能性を共通言語として第1回・2回と、この素材を核としたものづくりを行なっている。

2023年9月、パリでの展示

パンデミックの最中、半ば強制的に自国日本へと目を向けることとなり、そこからコンセプトがより具体化していったという「オジズム」。渡航制限が解除されていた3回目の発表では、初めて国内ではなくパリでの展示を行なった。「オジズム」では、構想段階から日本文化に即したアプローチが案として出ていたが、ステレオタイプの和風プロダクトとは距離を置くべきという意向も踏まえ、採用を見送っていたという。より客観的視点が期待できる国外発表を期に、これらの案は日の目を見る運びとなった。

パリで行われた〈UNDERCOVER〉のコレクションにて
合同展示されたOZISM 2024 SS COLLECTIION

和紙と草木染め

和紙と聞くと服飾のテキスタイルとは縁遠く感じるが、ここで言う和紙とはその繊維を使って撚った糸で織られる生地を指す。原料こそ同じだが、漉して繊維を絡める紙とは製法が明確に異なる。吸水・吸湿性に優れ、蒸れにくく消臭効果が備わる、化学加工なしでも紫外線をカットするなど、布帛としての利点が多い。「オジズム」で使用している生地は、この糸をコットン糸と混紡したもの。
今回の「オジズム」に見られる草木染めは「槐（えんじゅ）」、「木斛（もっこく＝ログウッド）」、「柘榴（ざくろ）」を染料としていて、それぞれが「NATURAL」、「BROWN」、「CHARCOAL」というカラーバリエーションとリンクしたもの。染色はすべて岡山県倉敷市で行われているという。

nonnative × UNDERCOVER
OZISM
2024 SPRING - SUMMER COLLECTION
1st DELIVERY

「オジズム」の最新作が3月16日 (土)に到着。
約2年前、日本発のブランド同士のコラボレーション実現にあたり、掲げられたテーマは「OZISM」。映画監督、小津安二郎から着想を得たこのワーディングには、日本の美学や歴史、背景を見つめ直すことに共通点を見出し、-Portraits of Modern Japanese- をタグラインとした両デザイナーの、小津への共感や敬意が込められている。
2024春夏シーズンは、素材に「和紙」を取り入れたウェアを中心とした構成。インスピレーションソースだけでなく、素材にも日本ならではの発想や美意識が活きている。
ファーストデリバリーは「作務」からの連想で「MONK（修道僧）」と名付けられた新型のジャケットとコート、それらとセットアップとなるパンツが並ぶ。
小津作品を後世に伝えるオマージュとして、古川タクによるイラストを配したTシャツもリリースする。

MONK JACKET
COTTON PAPER VIERA OVERDYED

「オジズム」のシグネチャーアイテムと言えるジャケットで、“普段着としての作務衣”が着想源。コート同様にコットン／和紙の混紡素材。
今シーズンはスナップボタンのダブルブレストにアップデートしている。

MONK LONG COAT
COTTON PAPER VIERA OVERDYED
WITH GORE-TEX WINDSTOPPER®

コットン／和紙の混紡素材で仕立てたバルカラータイプのワークコート。身頃にゴアテックス ウインドストッパー® メンブレンをライニングし、防風性・透湿性を備えている。
草木染めによるナチュラルな色合いとゆとりのあるシルエットが、軽やかな着心地を叶える。ファスナー式のサイドベンツ仕様。

MONK CARDIGAN
POLY PAPER YARN

ポリエステルと和紙を織り交ぜたニット製のカーディガンは、ドライな質感が特徴。背面裾の両脇に配したジップが、スタイリングのアクセントに。

OZISM
QS TEE - 1

イラストレーター・古川タクが描いたNPO法人「湘南遊映坐」保有の、小津安二郎モチーフの作品を載せた七分袖Tシャツ。

©TAKU FURUKAWA／NPO SHONAN YUEIZA

WALKER EASY PANTS
COTTON PAPER VIERA OVERDYED
by GRAMICCI

ベースとなっているのは〈グラミチ × ノンネイティブ〉の「WALKER EASY PANTS」で、1タックのテーパードという、ややリラックスしたシルエット。
コートやジャケットとセットアップで着用できる、コットン／和紙混紡素材の軽やかなイージーパンツ。

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